記者の眼 — 「できない人」にいくら教えても「できる人」にならないのか:ITproという記事がおもしろかった。
システム開発のマネージャへのインタビューで内容が構成されており、以下の点などは現場でプロマネをしていた経験と照らして、うなずける内容でした。
プロマネ自身が自分でコントロールできる範囲を認識していなければ非常に危険な内容も含まれますが、でも、往々にして現実はこんなものだったりします。「信頼関係」大切。
記事では「できない人は教えてもできない」例として、こんな記述があります。
「こことこことここをチェックしたら分かる、という話ではないからね。結局、経験を積んでもらうしかない。後輩と一緒に仕事をして、『さっきの報告をどう思う』と水を向けて、『なんだか変でしたねえ』と言ってきたら見込みがある」
「何も言ってこなかったら、教えてあげるのですか」という記者の問いに対して、
「うーん。『こういう可能性があるから調べてみろ』と言うことはある。調べて『仰る通りでした。こんな問題がありました』と言ってくる。それで終わりかな。つまり、気が付かない後輩は伸びない」
とのこと。
一見、正論のようにも見えますが、本当は自分の無意識化のロジックを言語化できていないだけではないでしょうか。暗黙知を見える化できていないというか。
本当に「直感力」は鍛えることができないのでしょうか?
羽生善治 『決断力 (角川oneテーマ21)
』に「直感」に関して以下の記述がありました。
カーネギーメロン大学の金出武雄先生と対談をさせていただいたときに「論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる。計算機の言葉でいえば、毎回決まったファンクションが実行されているうちにハードウェア化するようなものだ。それまでは毎回発火していた脳のニューロンが、その発火の仕方がいつも同じなので、そこに結合が生まれ、一種の学習が行われたということではないか」
直感は論理的思考の蓄積により鍛えられると読めます。さらに羽生善治二冠自身の言葉として、
なんとなくここが中心ではないかとか、ここが急所ではないか、要点ではないかといったことを、それまでの自分自身の経験則や体験、習得してきたことのひとつのあらわれとしてつかむことができたなら(その瞬間には当然、そんなふうには考えないだろうが)、そこには直感が働いている。
とあります。直感は自分の経験則や体験、習得してきたものが原資となって生み出されると理解しました。
先ほどのマネージャーの例で言えば、「気が付かない後輩は伸びない」で終わるのではなく、どのようにして自分がそれに気付いたのかを見える化してみる。
つまり、無意識下の思考プロセスを紐解いて「着目したポイント」や「考え方」を伝えるようにすれば、後輩くんの論理的思考が蓄積され、直感力を向上できるんじゃないだろうか。
さらに、自分がどうしてそういう結論を出したか?を振り返ることにより、自分自身の思考プロセスを磨くのにも役立ちそうな気がします。
「気が付かない後輩は伸びない」は思考停止!