バスケットボールのW杯で日本代表を率いてパリ五輪出場権を獲得したトム・ホーバス監督とかつてラグビー日本代表を率いたエディー・ジョーンズとの対談が公開されていた。

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対談は2021年のもののようだが、非常に示唆に富む内容だったので、いくつか引用する。

自信を持たせる

自分たちが到達できると想像していない領域まで彼女たちを追い込むと、それをクリアしてくれました。当然、それは自信につながっていきますし、オリンピックを迎える時点で、世界中のどの国よりもハードな練習をしたことが選手たちの自信を生んだのです。

選手たちへどの国よりもハードな練習を課し、それをクリアしたことを自分たちのよりどころにする。

ハードな練習自体が目的なのではなく、それにより自信をつけさせることが目的。

オリンピックでうれしかったのは、何人かの選手が「私が自分自身を信じるよりも、トムがより私を信じてくれた」と言ってくれた時でした。

選手を心から信頼することも、自信を持たせることに繋がっているはず。

適切なゴール設定

問題となるのは、課題なき長時間トレーニングです。今までお話ししてきたように、日本の指導者は長時間拘束することで、選手たちの集中力を奪っているのです。トレーニングでフォーカスするべき点を伝え、ケガを避けるために適切な休養を与えながら、練習の密度を高めていく。

最初の引用と矛盾するようだが、練習に対する適切で明確な目標を設定し、それをクリアしたら所用時間に関係なく練習を終えるなど、根性論一辺倒の練習はしない。

コーチに「なぜその練習をするのか」を言語化できるスキルがないと難しいことだと思う。

「能動的に考えられる」組織をつくる

私はオリンピックで、チームの「原則」だけを決め、試合中の判断は選手たちに委ねました。すると、原則を理解した12人は、私さえ驚くような創造的なプレーを見せてくれました。

コーチがすべてを決めるのではなく、全体像やゴールの方向を示し、それをクリアするためにどうするかは選手たちに考えさせる。これにより能動的に考えられる組織にしていく。

モウリーニョに学ぶリーダーとして大切なことでも書いたが、一流のアスリートやコーチの言葉からは、多くのことを学ぶことができる。