Jリーグの開幕まで何か面白いサッカー本は無いかな?と物色する毎日です。早く3月にならないものか。
さて、これまでに多くのサッカー本を節操なく読んできました。
監督本からはチームマネジメントを学び、戦術本からはサッカーの見方・楽しみ方を学び、エッセイや小説・コミックスではサッカーを軸とした「物語」に没頭し…などという御託は良いとして、シンプルに面白い。
自分はどんなサッカー本が好きなのかを再確認する意味も込めて、読んで面白かったサッカー本をまとめてみます。
監督にスポットをあてた本
チーム内へどのように競争原理を導入するか、選手のモチベーションをどのように管理するか?などのチームマネジメントや、チームの戦力に応じた戦略、戦術策定の方法など、仕事にも役立つ内容が多く含まれるので好き。
モウリーニョの流儀
日本人の著者によるモウリーニョ本。インテル時代のノンフィクションで、どのようにしてスター選手をモチベートし、自分の戦術にフィットさせていくのか。リーダー論としても楽しめます。
ジョゼ・モウリーニョ
FCポルトからチェルシーまでの話。傲慢な振るまいや言動は意図的で、選手へのマスコミや他のクラブからの攻撃を自分が盾になるためというのは、スカパー!のモウリーニョ特集でも見ました。
2013年J2長崎の監督 高木琢也監督は本書を以下のように評しています。
モウリーニョは意識的に2つの顔を使い分けている計算高い戦略家だ。
傲慢かつ厳格な性格の持ち主に見える彼の印象は、実は対外的な一面にすぎない。メディアや他クラブからの批判は、逆境に立ち向かう選手たちの意識付けとして想定されたものだろう。
彼の本当の姿は、選手との対話を重んじ、最大級のモチベーションでピッチに送り出すところにある。ゲーム戦術と同時に、戦う意識を最大限引き出す。
モウリーニョの成功は、モチベーターとしての二面性を兼ね備え、かつその理想を具現化した証だ。彼が現在の地位を築く様が詳細に描かれたこの本は、単なる雑誌の特集とは深さが違う。
フットボールはもとより、あらゆるスポーツの関係者のみならず、一般のビジネスマンにも、必ずや心に響く紆余曲折のストーリーが展開されている。なるほど、華やかな成功の陰には、真の苦労があったのだ。指導者への道を本格的に歩き始めた私にとっても、これほどモチベーションが上がる本はない
モウリーニョのリーダー論 世界最強チームの束ね方
モウリーニョの発言を多く引用し、そこからリーダー論を展開する内容。
「リーダーとは何か。それは命令を下すことではない、ガイドすることだ」
ベンゲル・ノート
中西哲生が名古屋グランパス時代に作成していた、ベンゲル監督のトレーニングメニューやミーティングでの発言のメモを元に構成されたベンゲルの理論と戦術をまとめた一冊。
名将への挑戦状 ~世界のサッカー監督論~
雑誌『ワールドサッカーダイジェスト』でコラムを連載しているヘスス・スアレスが13人の大物監督について語るコラム。
- ジョゼップ・グアルディオラ
- ファビオ・カペッロ
- ウナイ・エメリ
- ルイ・ファン・ハール
- ホセ・アントニオ・カマーチョ
- マルセロ・ビエルサ
- ミカエル・ラウドルップ
- ビセンテ・デルボスケ
- ドゥンガ
- ラファエル・ベニテス
- ビクトール・フェルナンデス
- アーセン・ベンゲル
- ジョゼ・モウリーニョ
戦術論、サッカーの見方がわかる本
サッカー戦術クロニクル
トータルフットボールというキーワードを軸に戦術の変遷を紐解いていく。ミケルス、ACミラン、ヨハン・クライフ、アルゼンチンとマラドーナ、ジダンとアヤックス、銀河系時代のレアル・マドリード、モウリーニョの4–3–3、ハードワークの時代など。
サッカー戦術クロニクルII
テーマは「消えた戦術と現代サッカーを読む」。カウンターアタック、マンツーマン、ロングボール、リバプールとビルドアップ、スペインとバロセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、ジェノア、セットプレーの変遷など。
サッカーの見方は1日で変えられる
『ボールを追うのは3流、フォーメーションを論じるのは2流。では、「本当のプロ」はどこを見ているのか?』どのような視点で何を見ると、よりサッカーを楽しめるかを手引きしてくれる一冊。
アンチェロッティの戦術ノート
アンチェロッティの戦術論、選手論、監督論がまとめられた本。実際の試合についての分析が興味深い。
宮本式・ワンランク上のサッカー観戦術
センターバック専門講座
元日本代表の秋田豊が自らの経験を元にヘディングの技術、1対1の対応、守備システム、ラインコントロール、攻撃、メンタルまでを深く解説する。
エッセイ・ドキュメントなどの読み物
ボクらの蹴活―夢をかなえた19人の少年時代
ボクらの蹴活―夢をかなえた19人の少年時代 (GAKKEN SPORTS BOOKS)
内田篤人、岡崎慎司、玉田圭司、中村憲剛、前田遼一などの19選手の少年時代。日本代表の選手と言えども、ずっと順風満帆できたわけでないことがわかる。
日本サッカーと「世界基準」
いつものセルジオ節で日本サッカーの問題点を提言する一冊。
やめないよ
キング・カズの日経新聞コラムをまとめたもの。プロローグの1行目が「横浜FC」で始まるのが胸熱。 読みやすい内容ながら、プロフェッショナルな姿勢や考え方など多くのことを学べます。
文体とパスの精度
村上龍と中田英寿の対談、メールの内容をまとめたもの。パルマ在籍中の話。この時の中田英寿とのやりとりが、悪魔のパス 天使のゴール (幻冬舎文庫)の描写に活かされることになる。
「最後」の新聞 ~サッカー専門紙「エル・ゴラッソ」の成功~
「最後」の新聞 ~サッカー専門紙「エル・ゴラッソ」の成功~ (ワニブックスPLUS新書)
愛読紙「エル・ゴラッソ」が創刊されるまでのドキュメント。「素人」だったからこそ業界の常識にとらわれず、新しい「新聞」を生み出すことができたのでしょう。「知らない」ことは武器でもあります。
日本人はなぜシュートを打たないのか?
日本人はなぜシュートを打たないのか? (アスキー新書 018)
「何故シュートを打たないんだ! シュートを打たなきゃ、ゴールなんて絶対に生まれないんだぞ!!」
日本代表のゲームやJリーグの試合を観ながら、何度となく心のなかで叫んだものだ。とにかく日本人は、チャンスがあるのにシュートを打たない傾向が強い。
攻撃の目的はシュートを打つことであり、ゴールは結果にしか過ぎない。とにかくシュートを打たなければ、まったく何も起きないのだ。
小説・コミックス
さよならフットボール
さよならフットボール(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)
男子顔負けの技術を持ちながら、フィジカルのハンデに苦悩しながらも決して諦めず、挑戦し続ける女子中学生のお話。素晴らしい作品。泣けます。
GIANT KILLING
いわずと知れた「ジャイキリ」ストーリーも面白いし、何よりもサポーターの心理が良く描かれているところが好き。Jリーグのサポならのめり込むこと必至です。
悪魔のパス 天使のゴール
試合で活躍した選手が心臓麻痺で死ぬという事件を解き明かそうとする、小説家 矢崎とセリエAの日本人プレイヤー冬次の物語。物語の面白さに加えてサッカーの描写が精緻で素晴らしい。
こうして眺めてみると、サッカーをより楽しむための本(戦術や見方)と一流のアスリートからの学びを得るための本(監督本)を多く読んでいるようでした。
他におすすめのサッカー本をご存知でしたら、ぜひ教えてください。