はじめに
- 学校では学問そのものを教えるばかりで、ノートのとり方、文献カードの作り方は教えてくれなったというのは自分の時代も同じだった
- あえて教えず、自分で考えて試行錯誤したり、人に聞いたりして自分のやりかたを確立すべき。という考え方だったのかもしれない(実際には違うだろう)が、それができる人とできない人の差が広がるばかりになってしまう
- 基本的な文章の書き方も系統立てて教わった記憶は無い。いきなり作文を書かされて添削されていたはず。いまにして思うと、これは教師・生徒ともに効率が悪いし生産性が低い
- 「知的生産」は新しいこと(=独自性があること)を、第三者がわかるかたちで提示すること
- 「知的消費」は知的な活動を含むが、新しいことを生み出さない行為のこと
- 資料を探す、本を読む、整理をする、ファイルをつくる、かんがえる、発想を定着させる、記録をつける、報告をかくといった知的作業が必要になる仕事が増えたことで、それらを技術として習得することの価値が向上した
発見の手帳
- メモは備忘のためではなく、発見、自分の着想を記録する
- 短い単語やフレーズではなく、ちゃんとした文章で書き後で読んでも理解できるようにする
- 「書く」ことが重要。考えるだけでは気付かない多くの問題点に注意を払うようになるのが書くことのメリット
- 発見は突然やってくるため、すぐにその場で記録できるにする
- 本ではノートや筆記用具を吟味しているが、現代においてはスマホで適切なアプリをいつでも使える状態にしておけば良いだろう
- 1ページに1項目と言う原則を確立して、ページの上部に内容が一目でわかる表題をつける
- 手帳が終わったら必ず索引を作る
- これにより、アイディアの重複や自分それぞれの相互関連を見つけることができる
ノートからカードへ
- ページの追加や並べかえができないためノートからカードへ
カードとそのつかいかた
- カードは以下の項目を書く
- しっかりとした完全な文章
- カードの上欄へ一行サマリ(表題)
- 日付
- 複数枚に渡る場合はナンバリング
- ノートとカードの違いは「操作できる」こと。これにより知識を死蔵させず創造の道具になる
- 分類はゆるやかで良い。くりかえして取り出し、組み合わせを考えることが大切
- 本書も「知的生産の技術」やカードシステムについての書いていたカードをもとに執筆された
自分の知識や思想を、カードにして並べてみると、なんだ、これだけか、という気がして、自尊心を傷つけられるような気がするのである。
きりぬきと規格化
- スクラップブックへ時系列できりぬきをする方法は、あとで活用するのが難しい。カードとノートの関係と同じように、あとで並べ替えたり組み合わせたりできるよう単票で管理すべき
- あとで活用するためにはサイズを統一するなど規格化が大切。ソフトウェアに置き換えた場合の規格化にはどのようなものがあるか?
- テンプレートで書くべき項目を統一する
- メタ情報の統一(Front Matter)
整理と事務
- 整理というのは必要なときに必要なものをすぐに取り出せる状態にするということ。見た目のきれいさや、きれいに片付けることは整頓と呼ぶ
- ただし(一般人には)整理の前提として一定水準の整頓が必要になるだろう
- 整理の原則
- 置き場所を決めておく
- 置き方を決めておく
- 物理的なもの、本・ノート・カードなら積み重ねずに、必ず立てておくなど
- 使用後、必ず取り出した場所へ戻す
読書
- 読書カードには著者名、署名、発行年月、出版社、ページ数などの書誌情報と、読了日のみ書く
- 内容に関することや読んで考えたことは、別のカードに記録する
- 読書中にノートを取ったり抜書したりせず、傍線をひく程度にとどめて、まずは全部を読み通す
- 読みながらノートを取ると、読み進めれば自明になるような疑問を書いてしまうなど効率が悪い
- 読了後、傍線を引いた箇所について振り返りを行い、真にノートに残すべき部分を吟味してノートをとる
- 著者にとって大事なところではなく、自分にとっておもしろい、興味を引く内容をノートにする
- 発見のための触媒としての読書。使うための読書。楽しみの読書とは別物
ペンからタイプライターへ
手紙
日記と記録
原稿
文章
- 文章を書くのは、考えをまとめる段階とそれを実際に文章にあらわす段階があるが、筆が進まない原因は考えがまとまっていないから
- 主題について思いつくままに1枚1テーマでカードを作成する
- 書きつくしたら、カード全体を眺めて関連がありそうなものをまとめていく。分類ではないことに注意。論理的なつながりに注目する
- まとまったら、論理的に筋が通ると思われる順序にカードを並べ直し、ホチキスなどで束ねる。これを「こざね」と呼ぶ
- 論理的にまとまりのあるこざねの列ができたら、クリップでとめ見出しをつける
- その後、見出しをみながら文章全体の構成を考える
- 川喜田二郎がKJ法として体系化『発想法』